川崎重工 「シールドマシン事業の新会社設立に関する基本合意書の締結」を発表
事業の分割・合併で根本的な問題が解決できるのだろうか?


川崎重工は1月27日に、『シールドマシン事業の新会社設立に関する基本合意書の締結について』をプレス発表しました。

社内では、その翌日に生産専門委員会が開かれ、会社がその内容について労働組合に提案し、質疑応答が行われました。

会社提案の概要

会社が提示した資料(労組ニュースNO.1952)の概要は、以下となっています。

川重のエネルギー・環境プラントカンパニーが事業展開しているシールドマシン事業について、日立造船株式会社の同事業と統合(新会社設立)に向けた詳細検討および協議を行うことに関する基本合意書を締結した
背景  シールドマシン事業は国内市場の寡占化が進んでおり、「当社単独での採算確保はより厳しくなっていくことが予想される。一方で、海外市場は新興国のインフラ設備需要などで継続的な成長が見込まれ…どのように海外市場へ事業展開していくのかが、大きな課題である」。 
新会社設立の狙い  「両社の強みで互いに補完しあうこと、および事業に特化した組織と業務のあり方を追求し、競争力を強化することにより、市場におけるシェア拡大を図る」「活用できるリソースの増強や多様な技術の組み合わせによるシナジー効果を実現することで、積極的に国内外で事業展開していくための経営基盤が強化できる」。 
基本合意の主な内容  統合形態は「今後の協議にて決定」、統合時期は2021年10月(目標)、出資比率は50:50、統合事業は「営業部門およびエンジニアリング部門とし、工場における製造部門は含まない」、会社所在地は「本社およびエンジニアリング部門は関西地区、営業部門は関東地区」 。
従業員取扱い  従業員の取扱いは当面出向とする。
労働条件は基本的には出向者取扱規程に則り取扱う。 
今後のスケジュール(予定)  2〜3月頃 対象者選定
6〜8月頃 労働条件や処遇等の各種取扱い説明 


質疑応答では、統合のスキームや統合を最終判断する時期・考え方、株式譲渡などのオプション、転籍の時期や取扱い、新会社の労働条件などは、今後の協議によると会社が回答しています。きわめて重要な事項がこれから協議という段階であり、また、派遣社員の取扱いについては触れられていません。

職場からは会社説明が漠然としているなどの不満や不安の声が

昨年11月に、車両とモーターサイクル&エンジン事業の分社などが発表され、今度は川重本体からシールドマシン事業を切り離し、他社と合併するという話が突然報道されたので、職場では驚きとともに不満や不安などのさまざまな声が上がっています。

以下は、2月9日と10日に神戸工場で行われた職場集会での要望意見や職場からの声です。

「現状の会社説明では今後のことはこれから協議決定するという説明が主であるが、今後のことが漠然としている状態で高いモチベーションを保って業務にあたるということは難しい。今後のビジョンについて速やかに説明するよう要求してほしい」
「将来的な戦略が示されなかったので不安です」
「今後のスケジュールで『対象者選定』が先で『労働条件や処遇等の各種取扱い説明』が後となっており順序が逆ではないか。労働条件等を決めてから対象者の選定(個人への説明)に進んでほしい」
「新会社にはすぐに労働組合ができないから給料や労働条件などがどうなるのか心配です」
「今回は出向の提案だが、その先には転籍ありきではないかと考える。不安でしかない」
「勤務地が遠くなるので家族に負担がかかる」
「日立さんとは仕事のやり方が違うだろうから、うまくいくのだろうか」
「製造拠点がどこになるのか気になる」等々

労働組合は、「引き続き意見集約を行い、組合員の不安解消に努める」「現時点では未定の内容が多いことから、改めて生産専門委員会を開催し、当該支部と連携を図りながら解明を図ることとする」としています。

経営が厳しいときこそ、働く人々の知恵を結集し、困難に強い体質への成長のチャンスにしよう!

職場の声はどれも切実で、また、安心して希望を持って働きたいという願いが込められいると思います。

私たちは、利潤第一主義の経営施策では近いうちに必ず限界が来ること、働く人々の利益や思いを何よりも大切にした経営施策こそ、中長期的には企業も社会も発展すると考えています(詳しくは、2018年に発行した『私たちの職場綱領』を参照ください)。

そのためには、経営陣がまず、シールドマシン事業の抱える問題点とその根本的原因、その解決がなぜいまの業容では無理で、新会社では可能なのか、また分割・合併した場合のリスクなどについて、コロナ感染対策に配慮しながら、対象職場に率直に丁寧に説明し、十分な議論を尽くすことが大前提となります。客観的な問題は互いに誠意を尽くせば、必ずや認識が共有できると思います。

経営が厳しいときこそ、それを糧に、社員・派遣社員のすべての人たちの持つ能力を引き出し、それを乗り越える努力によって、一体感や各人の能力・モチベーションが向上し、困難に強い体質へと成長できるではないでしょうか。

今回のコロナ・パンデミックは、利潤第一主義の経済のあり方を厳しく問うものとなりました。今後は、どのような仕事であれ、地球的規模での環境破壊や大規模災害から人々の命と暮らしを守ることに、どう貢献できるのかも大きなテーマになると思います。このようなことも含め職場で大いに議論してみましょう。


<ともに働くみなさんへ>
本件に関してどんな情報や意見でも結構です。お待ちしています。

日本共産党川崎重工委員会 
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(21.02.21)