航空宇宙ディビジョンが50人の出向を提案
困難なときこそ「人財」の力を生かし、コロナ禍に強い企業体質をつくるべきではないか!
9月24日(木)、神戸本社にて生産専門委員会が開催され、会社側から「航空宇宙ディビジョンの操業変動とその対策」について提案されました。
提案では、「新型コロナウイルスの感染拡大による民間航空機の減産を受けて、大幅な操業減が見込まれており、この状況は今後数年間続く見込みです。これに対し、他カンパニーへの応援出張、間接工への配置転換など様々な施策を進めているところですが、なお操業対策として不十分となる見込みです。年央目標を達成し以後の成長路線に乗せるためにも、次の出向を実施することで航空宇宙ディビジョンの操業損失の発生を最小限に抑制していくことが必要となります」とし、「航空宇宙ディビジョン(岐阜工場・名古屋工場)に所属する従業員について50人の出向を実施します。…本出向とは別に、今後2021年度中頃までに他カンパニーへの応援派遣や一般他社への出向を実施します」と説明しています。そして、規模として「今回の提案に追加して、最大80名程度を想定している」とのことです。
具体的には
・11/1からトヨタ車体に40人
・12/1から岐阜車体へ10名
出向期間は「2年程度を想定」。出向者への説明は、「出向候補者となった時点で出向概要を所属経由で説明し、更に出向者決定後は説明会を開催する予定」となっています。
実施まで1カ月と突然の提案で、しかも具体的な条件についての説明は別途提示するとなっているなど、あまりにも一方的で不十分な提案と言えます。出向期間も2年程度としながら、期間の短縮・延長も、状況によりあり得るとしています。
出向は、相手先の就業規則や労働協約等に従うことになり、また、これまで培ってきた技能が出向先で役に立つのか、住居変更を伴う勤務地なのかなど、労働や生活・家庭環境に大きな影響を与えます。それゆえに、民法(第625条1項)では本人の同意を必要としています。出向条件が詳細に提示されてなくては、労働組合も対象となる従業員も判断のしようがありません。
会社は、経営状況が厳しいからと言って、出向命令の権限を無制限に持つわけではありません。人事権の濫用にならないためには、配転と同様に少なくとも次の要件が必要となります。
@出向に客観的な合理性があること。
A人選に合理性があること。
B出向が労働者の生活権を侵害しないこと。
C手続きが信義誠実であること。
Bの生活権については、会社は、育児・介護の状況に配慮する義務があります(育児介護休業法26条)。
今回の出向がこの要件をきちんと満たしているのかを厳しく検証する必要があります。
今回の出向提案では、「収益改善対策の概要」の項で、「本改善の実施により、2021年度の経常黒字化を達成し、2022年度以降の回復への道筋をつけることを目指しています」と述べています(上記の下線の部分も同じ内容)。
「経常黒字化」のための「収益改善対策」として、従業員を他社に貸し出すとなれば、「人財」と呼びながら「コスト」として扱っていることになります。コロナ禍のような危機のたびに、経営努力のいらない安易な施策を続けていては、企業に未来はないと思います。困難なときこそ経営手腕を発揮し、本当に「人財」として大切にして、コロナ禍などの災害に強い企業をつくるべきではないでしょうか。
労働組合は、以上の点を考慮し、従業員に寄り添い、決して従業員がひとり悩み苦しむような状況に陥らないように奮闘願いたいと思います。
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(20.10.13)