川崎重工 KPS 生産管理板の運用・評価に関するアンケート結果について 多くの方が仕事や品質管理・生産性向上に役立っていないと思っています。しかし、そのことを職場で話し合えないと訴えています。 |
「KPS生産管理板の運用・評価に関する調査」(5月12日〜7月31日)に、川崎重工と関連企業で働く労働者のみなさんから、切実な訴えや建設的な提案などの回答がよせられました。 川崎重工のほとんどの工場から回答がよせられ、たいへん貴重な調査結果になったと思っています。回答された35名のみなさんに心から感謝いたします。 KPS生産管理板の何が問題なのか、どうすれば仕事がやりやすく、良い品質のものが作れるのかなどについて、職場での話し合いが進むことを願い、アンケート結果を発表します。 |
@ 工場・年代: 9工場、35名の方から回答 30・40代の中堅層が多数
C 生産管理板との関わり: 運用に関わっている方が過半数
D 作業形態: 多くの方が一人作業
E 生産管理板の種類: 手書きが多数
F 作業指示の作成者: ほとんどが班長・担当者
G 作業の最短予定時間: 3分未満が圧倒的多数
H 作業時間の実績と予定時間との差異などの記入するタイミング: 指示書の作業が終るたびがほとんど
I 仕事に役立っているか: 「思わない」が約6割 作業時間に煽られ仕事に集中できない(とくに兵庫工場・西神工場が顕著)
【一部抜粋の紹介】全回答はこちら
役立っている理由 ○「目標時間等が明確に指示されており、作業のペースがつかみやすい。」(岐阜) ○「作業者任せになっていたことを標準化できるのは良いこと。」(神戸) ○「作業時間の目安が確認できるのはよい。」(明石) ○「問題点あらいだし役立っている。」(坂出) ○「次に何をするか聞かなくても分かる。」(坂出) |
役立っていない理由 ○「何がなんでもトヨタ生産方式を見習ってKPSを推進するのは間違っているのでは?」(岐阜) ○「管理をする側の数値解析の為と、人を秒刻みで業務に従事させる事しかなく、著しく技術レベルの低下を感じる。・・・全く余裕のない目標値を負わされるのは、安全面、品質面では、全く邪魔でしか無い。」(岐阜) ○「指示されている作業時間を2分オーバするとその理由を書く必要が生じるので、書かないでいいような対応をしている。生産管理板は自分たち作業者の思いは吸い上げてくれない。一方的に作業を細分化してその実施を要求するだけ。」(神戸) ○「書いてある内容が理解できないことが多い。そんな物を作るのに時間、経費をかけるのが無駄である。」(兵庫) ○「煩雑なだけでなく、作業を煽られモノづくりに心をこめられなくなる。」(兵庫) ○「コンサルタント丸投げ&言いなりで管理監督者が自ら考えていないように見える。」(西神) ○「確認行為が無い為戻る事が出来ない。作業者が疲弊してます。」(西神) |
J 品質管理・生産性向上に役立っているか: 「思わない」が約7割 若手の育成や技術向上に逆行(ここも兵庫工場・西神工場が顕著)
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役立っている理由 ○「細かな部分まで作業指示があるようなので、特に品質管理に役立っていると思われる。」(岐阜) ○「作業が標準化され、品質確認項目をきちんと入れれば役立つ。」(神戸) ○「決まった時間内で作業を行う意識につながる。」(明石) ○「実績が出ている。」(播磨) |
役立っていない理由 ○「品質面は、置いてきぼりにされており、コンサルタントは、収益面で儲かる事を煽るばかり。管理板に従わせるやりかたは、若年層へのレベル向上には、害悪でしか無いと思う。」(岐阜) ○「時間遵守のため、日常点検の無視や品質記録の纏め書きが横行している。」(名古屋第一) ○「その作業にたいしての技術がなければ管理板を作成した所で理解できなければ向上はしないから。」(神戸) ○「毎日、作業時間の達成率を赤文字掲示される為、作業者の意識は、作業時間に全て奪われてしまう。」(兵庫) ○「多くの現場の中堅層が管理者側に行った為、若手の育成がままならない状態で作業にあたらせているので、品質は落ちてきている。上からは、現場で教育しなさいと指示を受けるが、管理者側への要望が日々増えていき手が回らない状態。」(兵庫) ○「時間に追われるので品質も落ちてしまう。生産性はタブレットを操作しながらなので、2〜3倍使用していない時より時間がかかる。」(西神) ○「いそがないと時間が守れないから仕事が適当になるし、そもそもが間に合わないように作ってあるので手抜き工事になるようになっている。」(坂出) |
K 問題点や改善策などを職場で話し合っているか: 「いいえ」がほとんど とても言える環境ではない
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話し合っていない理由 |
L 意見・提案・困ったことなど(自由記述): 約7割の方から回答
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○「KPSにはコンサルタントがかかわっているが、毎月各現場を回っており、班長クラスの方は、現場巡回の為資料を夜遅くまで作成しており、いたたまれない。また、巡回時には大声で怒鳴りつけるなど、一般的にみるとパワハラといわれる言動が頻発しており、みんな萎縮してしまっている。」(岐阜) ○「どの職場も動きながらの作業がほとんどで作業性は格段に落ちている、尚且つ分刻みの指示によってデータが重くなり正常にタブレット等を操作できない、室内のためWi-Fiが届きにくい等のトラブルも起きてます。」(神戸) ○「管理者は生産管理板を押し付け、作業者は押し付けられるのが現状です。このような一方向の関係ではより良いものになるとは思いません。管理者自ら生産管理板で作業をしないので、問題が見えなく、コンサルの指導のまま細分化の指示をしていると思います。」(神戸) ○「KPS思想は理解できるが、関係者の長時間残業や会社OBがコンサルとしてやってきて、罵声を浴びせたり、反論を一切封じる、など体制に問題がある。昭和的なやり方で若手の退職が相次いでる。」(神戸) ○「話すな、振り向くな、余計な動きをするな。職場長の指示、命令に従え。残業、休日出勤の強制は、労基法に抵触しない。これが、管理者の決まり文句になっている。」「特に派遣は、ロボットの様に扱われています。鉄道車両の製造という、公共物に少しでも関われる仕事という、自負や誇りさえも、KPSにより奪われ、誰がやっても同じ作業、品質を追求する。これまで、大切に、培ってきた、熟練の系譜は、台車事故をきっかけに、悪しき慣習とされています。」(兵庫) ○「先日、聞いたばかりなので詳細は分からないのですが、播磨工場にKPSコンサルが調査にきていた時に、管理板を書いていないのを見つかってしまい、怒鳴り散らして生産ラインを停止さすとか言ってたようです。どの現場でもそうですが、分刻みの作業でタブレットに書き込むとかを強制させられるとストレス、プレッシャーで精神がやられます。」(兵庫) ○「他部門との共同作業が多いので多大な差異が発生する。管理板をつくるのに早朝から夜遅くまでサービス残業している班長をみかけるが、45時間以上残業をつけられないそう。サービス残業ありきで、成り立っている風の政策で仮に結果がでてもそれは会社としてありなのか?」(兵庫) ○「トヨタ生産方式の原点は正に『何が問題なのか、どうすれば仕事がやりやすく、良い品質のものを作れるのかなどについて、みなさんと共に考える』であった。KPSは形だけ細かくなりすぎ『みなさんと共に』を忘れた。」(西神) ○「社員同士の協力とかが、失われる気がする。」(播磨) |
最後まで読んでいただきありがとうございました。 今後、これらの貴重な調査結果を分析し、何らかの提案を発表させていただく予定です。 本調査結果についてのご意見・感想をお待ちしております。 |
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<参考:公益通報者保護制度> 企業の不当労働行為などの違法に対して、内部の労働者が公益のために通報を行った場合、通報した労働者が企業から解雇や降格などの不利益な扱いをされないように「公益通報者保護制度」があります。 企業にとっても違法行為の早期発見につながり、組織の自浄作用を高めることが出来るので、通報者も企業も守る制度です。 |
(21.08.17)